サムネイル

メタバースで不登校支援?最新トレンドとオンライン教育活用法とは

ライターのアイコン

アミン

2025年10月26日

「不登校支援の最新トレンドってどんなものがあるの?」「メタバースやAIを使ったオンライン教育活用法を知りたい」などと悩んでいませんか?


2025年現在、不登校支援は過去最多34万人の現状を受けて大きく変化しています。メタバース・AI技術の活用、COCOLOプラン※による包括的支援、『学びの多様化学校』300校設置といった革新的な取り組みが全国で展開されています。


本記事では2025年版の不登校支援最新トレンドからメタバース活用による心理的安全性の確保、AI・ICT技術を使った個別最適化学習、教育支援センターの新たな連携モデル、拡充する公的支援制度まで詳しく解説します。最後まで読むことで、現在利用可能な最新の支援手法や制度を理解でき、具体的な活用方法まで把握できるようになるでしょう。


※COCOLOプラン:誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策のこと。2023年3月、文部科学省の永岡文部科学大臣により公表された。

(参照:誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について〈通知〉|文部科学省)

目次


    不登校支援の最新トレンド 2025年版の現状分析

    不登校支援の最新トレンド 2025年版の現状分析を以下の内容に沿って解説します。

    • 過去最多34万人突破と国の方針転換
    • 学びの多様化学校300校設置と社会的自立への転換
    • メタバース活用による不登校支援の最新オンライン教育手法
    • 2D・3Dハイブリッド運用と出席認定制度

    それぞれ詳しく見ていきましょう。

    過去最多34万人突破と国の方針転換

    小中学校における不登校児童生徒数は11年連続で増加し、2024年度調査では34万人を突破するなど深刻な状況が続いています。学校内外の専門機関で相談・指導を受けていない児童生徒の割合が38%に上り、支援から取り残されている不登校児が13万人に上ると推計されています。

    2023年3月に発表されたCOCOLOプラン※は、「誰一人取り残されない学びの保障」を理念とし、不登校支援の基本方針を大きく転換させました。学校による早期支援体制の構築、1人1台端末を活用した心身の変化の早期発見システム、校内教育支援センターの設置促進が挙げられています。

    ※COCOLOプラン:誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策のこと。2023年3月、文部科学省の永岡文部科学大臣により公表された。

    (参照:誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策について〈通知〉|文部科学省)

    『学びの多様化学校』300校設置と社会的自立への転換

    2023年6月の教育振興基本計画では、『学びの多様化学校』を全国に計300校設置する目標が設定されました。2025年5月現在、全国に58校が設置され、各都道府県・政令指定都市で最低1校以上の設置が目標です。

    不登校支援の最終目標は、従来の「学校復帰」から「社会的自立」へシフトチェンジしています。カタリバ※のroom-Kでは、教育支援の前に福祉や医療の支援につなぐ家庭への対応を重視し、家庭全体への個別伴走支援を実施するなど、施設によって様々な支援を行っています。

    ※カタリバ:どんな環境に生まれてもすべての10代が意欲と創造性を発揮できる社会を目指す教育NPO


    メタバース活用による不登校支援の最新オンライン教育手法

    近年、メタバースを活用する不登校支援が始まりました。ネットの仮想空間の中に学校があり、そこで学校生活を送るというシステムです。

    メタバースを活用した不登校支援についてみていきましょう。

    アバターを活用した心理的安全性と実践モデル

    メタバース空間でアバターを利用することで、不登校児童生徒の心理的負担を軽減し、安心してコミュニケーションを取れる環境を提供できます。容姿や話し方に対するコンプレックス、他者からの評価への恐怖といった現実世界での不安要素が、アバターという仮想的な自分を通じて解消されるためです。

    東京都のバーチャル・ラーニング・プラットフォームは、2023年度の10団体から2025年度には34団体へと急速に拡大し、今後はさらに利用が加速するでしょう。静岡県のバーチャルスクールでは、試行運用で参加児童生徒の約95%が「利用してよかった」と回答しました。

    2D・3Dハイブリッド運用と出席認定制度

    効果的なメタバース支援では、2次元と3次元のプラットフォームを目的に応じて使い分けるハイブリッド運用が主流となっています。さいたま市のGrowthセンターでは、日常的な交流にはFAMcampusの2Dプラットフォーム、終業式などの特別イベントにはNTTの3D教育メタバースを使用するという柔軟な運営を実施しています。

    メタバース活用による学習活動の出席認定は、文部科学省の2019年の通知に基づく7つの要件を満たすことで、公式な教育活動として法的根拠を得ているため安心して利用できるでしょう。出席扱いの認定により、高校進学時の内申点に直接影響する出席日数を確保でき、子どもたちの将来の選択肢を保障する重要な制度的支援となっています。


    AI・ICT技術を使った不登校支援の最新トレンドと活用事例

    近年では、AIやICT技術を利用した不登校支援も広がってきています。どのように活用しているか見ていきましょう。

    生成AIによる個別支援とLMS活用

    生成AI技術を活用したキャリア支援は、不登校の児童生徒の個別ニーズに対応した将来設計と心理的支援を同時に実現する画期的な手法です。成基※の「シンガク」では、生成AIを使ったキャリア教育プログラムを通じて不登校生徒の興味関心を引き出し、具体的な職業選択への意欲向上を実現しています。

    「すらら」をはじめとするAI教材は、5年間で約140自治体に導入が拡大し、不登校支援における学習システムの標準的ツールとして定着しています。無学年制であるため、学習の空白期間がある子どもたちでも、理解できるレベルから段階的に学習を再開できる仕組みが整備されつつあるのです。

    ※成基:京都府京都市中京区に本部を置く学習塾

    早期発見AIシステムとGIGAスクール端末活用

    早期発見AI技術は、不登校の兆候を事前に察知し、問題が深刻化する前に適切な支援を開始できる革新的なシステムです。文部科学省が掲げる『GIGAスクール構想』により配備される1人1台の端末(GIGAスクール端末)は、不登校児童生徒のオンライン学習参加を支える重要な技術基盤として機能し、家庭からの教育アクセスを大幅に向上させています。

    GIGAスクール端末を通じて収集される学習ログや行動データの解析により、個々の子どもの心身の変化を早い段階で把握できる仕組みが整備されつつあります。メタバース支援プログラムの多くがGIGAスクール端末での利用を前提に設計されており、自治体は新たなハードウェアへの投資を行わずに高度な支援システムを導入できるのです。

    『フリースクール利用料補助』と『デジタル田園都市国家構想交付金』

    『フリースクール利用料補助制度』は、民間教育施設への通所費用を自治体が支援し、多様な学習環境へのアクセスを経済的に保障する画期的な支援策です。加古川市では令和7年度から新たに制度を開始し、久留米市では既存制度を継続実施するなど、全国の自治体で制度導入が拡がっています。

    『デジタル田園都市国家構想交付金』は、地方自治体のデジタル化推進を支援する国の財政制度で、不登校支援分野でのICT環境整備に積極的に活用されています。東京都のバーチャル・ラーニング・プラットフォーム構築や、静岡県のバーチャルスクール運営など、交付金を活用した大規模システム開発が実現されつつあるのです。


    最新トレンドを踏まえた上での保護者の対応と今後の展望

    今までの内容を振り返った上で、今後の保護者の対応や展望について紹介します。

    家庭学習環境整備と学校・支援機関との連携

    家庭内の学習環境の整備は、不登校児童生徒のオンライン学習参加を成功させるためにも重要です。GIGAスクール端末を中心とした学習環境では、Wi-Fi環境の安定性の確保、照明や騒音などの集中環境の対策、学習時間と休憩時間の明確な区別がポイントになります。

    学校・支援機関との連携強化は、不登校支援を成功させるための重要な要素です。定期的な情報共有と役割分担の明確化が効果的な支援の鍵となります。

    AI・メタバース技術の進化と循環型支援システム

    AIの連携による個別最適化支援は、1人ひとりの学習特性と心理状態に応じてカスタマイズされた教育プログラムが提供されます。今後のAI技術進化により、感情認識機能や対話型カウンセリング機能が期待され、人間の支援者と連携した24時間対応が可能になるでしょう。

    不登校経験者による循環型支援システムは、当事者の体験と専門知識を活かした新しい支援モデルとして注目を集めています。愛媛県のメタサポキャンパスでは大学生サポーターが年齢の近いメンターとなり、不登校経験を持つ学生が当事者目線での支援を提供しています。


    まとめ

    2025年の不登校支援は、過去最多34万人の現状を受けて、メタバースやAI技術の活用、COCOLOプランによる包括的支援、『学びの多様化学校』300校設置など、革新的な取り組みが全国で展開されています。教育支援センターの機能強化や公的支援制度の拡充、保護者向けの実践的サポート体制により、従来の学校復帰から社会的自立を目指す支援へと変わりつつあります。

    メタバース空間でのアバターを活用した心理的安全性の確保、生成AIによる個別最適化学習、多機関連携による包括的支援などにより、子ども一人ひとりの特性に応じた多様な学習環境が整備され始めました。『デジタル田園都市国家構想交付金』や『フリースクール利用料補助制度』の拡充により、経済格差による教育機会の差が縮小され、すべての家庭が質の高い支援を受けられる基盤が構築されつつあります。

    不登校支援は単なる問題解決から、新しい学びのあり方として社会的に認知され、不登校経験者による循環型支援システムやAI・メタバース技術の更なる進化によるすべての子どもが自分らしい成長を実現できる社会の実現が期待されています。


    参考文献

    文部科学省「やむを得ず学校に登校できない児童生徒等へのICTを活用した学習活動について」  

    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/mext_99901.html

    文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」  

    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387004.htm

    文部科学省「不登校児童生徒への支援について」  

    https://www.mext.go.jp/content/20250410-mext_kyoiku01-000041658_03.pdf

    文部科学省「不登校の児童生徒等への支援の充実について(通知)」  

    https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155_00001.htm

    福岡市教育委員会「不登校に関する支援」  

    https://www.city.fukuoka.lg.jp/kyoiku-iinkai/kyoikusodan/child/soudan04.html

    福岡県教育委員会「福岡県不登校児童生徒支援リーフレットについて」  

    https://www.pref.fukuoka.lg.jp/site/kyouiku/fukuokajidouseitosienri-furetto4.html

    熊本県「不登校児童生徒に対する経済的支援推進事業」  

    https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/132/238984.html

    加古川市「令和7年度フリースクール等利用支援補助制度」  

    https://www.city.kakogawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kyouiku/kakuka/kyoikushidobu/kyoikusodansenta/48126.html

    久留米市「フリースクール等利用児童生徒支援事業」  

    https://www.city.kurume.fukuoka.jp/1060manabi/2020kyouiku/3170futoukou/2025-0630-1713-166.html

    認定NPO法人カタリバ「オンライン不登校支援プログラム」  

    https://www.katariba.or.jp/activity/project/futoko/

    認定NPO法人カタリバ「不登校が11年連続増加。『学校内』における支援のヒント」  

    https://www.katariba.or.jp/magazine/article/report250909/

    認定NPO法人カタリバ「不登校の『その先』を実践例から考える」  

    https://www.katariba.or.jp/magazine/article/report251007/

    NPO法人eboard「自治体・フリースクール向け『教育現場のためのメタバース活用実践事例セミナー』」  

    https://info.eboard.jp/news/event/20250723.html

    日本財団「取り残された13万人、不登校の子ども支援へ新たな一手」  

    https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2025/20251006-116119.html

    レノボ・ジャパン「メタバースが不登校児童・生徒の学習機会創出に貢献」  

    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000202.000013608.html

    大日本印刷「静岡県の不登校の児童・生徒に居場所と学びの場を3Dメタバースで提供」  

    https://www.dnp.co.jp/news/detail/20175539_1587.html

    富士ソフト「4年連続で文部科学省の実証事業に採択 教育メタバース『FAMcampus』」  

    https://www.fsi.co.jp/company/news/20251001.html

    成基「『生成AI×不登校支援』はリアルとの融合で効果に期待」  

    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000115646.html

    すららネット「AI教材『すらら』、自治体の不登校支援で導入拡大」  

    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000522.000003287.html

    矢野経済研究所「多様化する学び支援サービス市場に関する調査を実施(2025年)」  

    https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3846

    ReseMom「不登校実態調査、34万人超の現状明らかに」  

    https://resemom.jp/article/2025/01/14/80241.html

    ReseMom「不登校支援が市場拡大を牽引、2025年度は439億円予測」  

    https://reseed.resemom.jp/article/2025/07/10/11274.html

    教育新聞「校内教育支援センター 支援員配置2・5倍に 不登校増対応」  

    https://www.kyoiku-press.com/post-299528/

    ICT教育ニュース「富士ソフト、教育メタバース『FAMcampus』活用した不登校支援」  

    https://ict-enews.net/2025/09/16fsi-2/

    coconova「【2025年最新】不登校の現状と効果的な支援方法」  

    https://coconova.or.jp/current-situation-school-absenteeism/

    AI Government Portal「不登校児童への支援」  

    https://ai-government-portal.com/不登校児童生徒への支援体制強化/

    AI研究所「【2025】AIによる不登校対策を実施!学校現場の活用事例」  

    https://ai-kenkyujo.com/news/ai-futoukou/

    WILL SCHOOL「【最新版】フリースクールで使える補助金・助成金とは」  

    https://www.willschool.net/column/column000117-html

    ライターのアイコン

    アミン

    好物:甘いもの

    兼業としてwebライターをしています。建築や健康、IT転職、法律など様々な分野で執筆しています。
    「読みやすさと、記事1つで読者の知りたい!を網羅する」ことをモットーに活動。
    趣味は読書、カラオケ、バレーボール、将棋、旅行...。
    日々学びながら、皆さまのタメになる記事を目指します!