通信制高校・定時制・高等学校卒業程度認定試験の特徴とは?
不登校からの進路の選択肢には「通信制高校」「定時制高校」「高等学校卒業程度認定試験(高認)」が挙げられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
通信制高校とは
通信制高校は、主にレポート作成と年数回のスクーリング(登校)によって学習を進め、高校卒業資格の取得を目指す学習機関です。学習は自宅での自学自習が主で、全日制高校のように毎日の通学が必要ないため、自分の生活リズムや体調、各自のペースに合わせて学業を継続できます。
全日制高校での集団生活や、登校することに負担を感じる生徒にとっては、心理的なプレッシャーが少なく再スタートを切りやすい環境だと言えるでしょう。ただし、自律的に学習を進める必要があるため、学習の進捗管理やモチベーション維持が難しい側面もあります。
多くの学校では個別指導やオンライン面談など手厚い学習サポートでカバーしています。通信制高校は、学業だけでなく、仕事や趣味、療養期間とも両立しながら、高校卒業資格というゴールを確実に目指せる柔軟な選択肢です。
定時制高校とは
定時制高校は、主に夜間や午前・午後の時間帯に授業が行われるため、昼間の時間帯に働いたり、自分の時間を確保したりしながら通学し、高校卒業資格の取得を目指せる学校です。全日制高校と同様に毎日決まった時間に登校して授業を受けるため、生活リズムを整えることができ、規則正しい学校生活を送りたい生徒に適しています。
学習内容は基礎から丁寧に教えられることが多く、中学校で勉強につまずいてしまった生徒も学び直しがしやすい教育体制です。新しい環境での集団生活や毎日通学する必要がある点は、不登校の経験がある生徒にとって負担となる可能性がありますが、少人数のクラス編成やきめ細やかな進路指導で個々の悩みをサポートしています。
定時制高校は、全日制高校に近い環境で学びながらも、自分のペースを尊重し、社会性や協調性も育める進路です。
高等学校卒業程度認定試験(高認)とは
高認とは、高校を卒業していない人が、高校卒業者と同等以上の学力があることを国が証明する試験です。高認に合格することで、大学や短大、専門学校の受験資格を得られますが、高卒という学歴を得られるものではありません。
最短4ヶ月という短期間で試験合格を目指せるため、早期に次のステップ(大学受験など)に進みたい人にとっては最も効率的な方法です。高認はあくまで「試験」であり、高校教育で得られる幅広い知識や集団での経験は得られません。
合格後の進路選択や学習計画を自分で立てる必要があるため、計画的な自律学習が求められます。高認は、高校卒業という形ではなく、学力を証明し、次の進路を早く開きたい人に向きです。
全日制高校とは
サポート校とは、通信制高校に在籍する生徒に対して、レポート指導や受験対策、メンタルケアといった学習面・精神面をサポートする民間の教育施設です。サポート校自体は高校卒業資格を授与できませんが、生徒は通信制高校とダブルスクールという形で利用することで、高校卒業資格を確実に取得できるようになります。
不登校経験者にとって最も大きな課題となる学習の遅れや自宅での孤独な学習といった課題を、個別指導や少人数制のクラス、担任によるきめ細やかなサポートで解消できる点が大きなメリットです。しかし、通信制高校の学費に加え、サポート校の費用が別途発生するため、経済的な負担が増える点が懸念されます。
サポート校は、精神的な安心感を重視し、通信制高校での学習をより確実で質の高いものにしたいと考える生徒のための伴走者のような役割です。
高卒資格と高等学校卒業程度認定試験(高認)の違い
高卒資格と高認の違いについて以下の項目をもとに紹介します。
- 取得するしかくの違い
- 最終学歴への影響
- 進学・就職の使い分け
それぞれ解説します。
取得する資格の違い
高卒資格は、学校教育法に基づき高校での課程を修了したことに対して授与される学歴としての資格です。一方、高認は、高校を卒業していない人に対して高校卒業者と同等以上の学力があることを証明する国家試験合格証明となっています。
高卒資格は高校という教育機関で3年以上の学習を経て得られるものであり、高認は試験に合格すれば取得できる能力証明です。企業によっては、採用選考において高卒資格(高校卒業)を応募条件としている場合があるため、高卒資格の方が進路選択の幅が広いと言えます。
高卒資格と高認は、どちらも大学受験資格を得られる点では共通していますが、法的な位置づけが根本的に異なります。
最終学歴への影響
高卒資格を取得すると、最終学歴は「高等学校卒業」となり、就職や進学の際に正式な学歴として扱われます。一方、高認に合格しても最終学歴は「中学校卒業」のままであり、履歴書には「高等学校卒業程度認定試験合格」と記載します。
この最終学歴の違いは、特に就職活動において影響が出るかもしれません。高卒資格を持つ人は、高卒を条件とする求人に応募できますが、高認合格者は高卒と同じ扱いを受けられない求人があるため、注意が必要です。
高卒資格は、3年間の高校生活という教育課程の修了を証明するものであり、社会的な信用度も高い学歴です。高認は、あくまで学力証明であり、学歴が「高校卒業」に変わるものではありません。
進学・就職の使い分け
高卒資格は大学、専門学校への進学、そして一般企業への就職のすべてにおいて、最もスムーズに進めることができる資格です。多くの大学や企業が応募資格として高卒以上を設けているため、選択肢を広げられるでしょう。
一方、高認は、早期の大学・専門学校への進学を目指す場合に最も有効に活用できます。高認合格後に受験対策に集中し、短期間で目標とする学校への進学を目指すことが可能です。
しかし、高認のみで就職活動を行う場合は、一部の企業で応募資格を満たせない可能性があります。高認を就職に活かす場合は、学歴を問わない求人を探すか、資格取得後に専門的なスキルを身につけて就職するという代替案が必要です。
進学を最優先するなら高認は有効ですが、バランスの取れた選択肢を求める場合は高卒資格が最も適しています。
費用・学費を徹底比較
各学校形態における費用や学費について見比べていきましょう。
費用・学費の違い
不登校後の進路選択において、通信制高校、定時制高校、高認、そしてサポート校にかかる費用は、それぞれ大きく異なります。特に学費の構造が異なるため、単純な比較ではなく、年間総額で考えることが重要です。

定時制高校や公立の通信制高校は、公的な助成があるため費用負担を大幅に抑えられますが、私立の通信制高校やサポート校は、充実したサポートと引き換えに費用が高くなる傾向があります。
就学支援金の適用範囲
高等学校等就学支援金制度は、通信制高校と定時制高校の授業料の負担を軽減するために国が定めた公的な支援制度です。この制度は保護者の方の収入に応じて支給額が決定し、要件を満たせば授業料が実質無償化されるため、経済的な不安を大きく解消できます。

就学支援金は、サポート校の費用や通信制高校のスクーリング費用、施設設備費などには適用されません。したがって、私立の通信制高校やサポート校を選ぶ場合は、支援金が適用される授業料以外の費用も考慮した資金計画を立てる必要があります。
この制度を活用することで、多くの生徒が経済的な心配をせずに高校卒業という目標を目指せます。
通信制高校・定時制・高等学校卒業程度認定試験(高認)それぞれの適性
通信制高校・定時制・高認それぞれが向く人の特徴を紹介します。
通信制高校が向く人
通信制高校は、自宅で自分のペースで学習を進めたいと考える人、または学業と他の活動を両立したい人に向いています。通学の回数が少なく、レポート提出やスクーリングの頻度も選択できるため、登校することに強い心理的負担がある人にとっては負担が少ない選択肢です。
体調を崩しやすい人や、プロのスポーツ選手、芸能活動などをしている人は、通信制高校で自分の時間を最大限に確保できます。自律的に学習計画を立てて実行する自己管理能力が求められるため、サポート校を併用したり、オンラインでの学習サポートを活用したりすることも検討しましょう。
定時制高校が向く人
定時制高校は、毎日決まった時間に通学し、集団生活の中で学び直したいと考える人に向いています。全日制高校と同じようにクラスに所属し、先生や友人と毎日顔を合わせることで、規則正しい生活リズムを再構築したい人におすすめです。
中学校で勉強につまずいた人でも、少人数で基礎から丁寧に教わる授業形態によって、学習の遅れを段階的に取り戻すことが可能です。毎日通学する必要があるため、不登校期間が長かった人にとっては、再び登校のプレッシャーを感じる可能性がありますが、手厚い生徒指導やカウンセラーに相談することで不安を解消できるでしょう。
高等学校卒業程度認定試験(高認)が向く人
高認は、早期に大学や専門学校の受験資格を得ることを最優先とし、学習期間を最小限に抑えたい人に向いています。受験科目を集中的に勉強し、最短4ヶ月程度で合格を目指すことが可能です。
大学受験に向けて早く受験勉強に専念したい人や、高校生活という形ではなく学力を証明することに価値を見出す人にとっては、最も効率の良い方法です。高認はあくまで学力証明のみであり、高校卒業資格が得られないため、就職活動での選択肢が狭まる可能性がありますが、その場合は高認合格後に専門学校などでスキルを身につけて就職するという方法があります。
まとめ
不登校からの進路選択は、新しい学びと成長をスタートさせるための大切な一歩であり、決して「失敗」ではありません。通信制高校、定時制高校、高認、そしてサポート校という4つの選択肢は、それぞれが異なる特性とメリットを持っていますが、お子様の心理状態、学習への意欲、そして将来の目標に最も合致した道を選ぶことが成功への鍵です。
特に、最終学歴や進路に影響する「高卒資格」と「高認」の決定的な違いや、費用負担を軽減できる就学支援金制度の適用範囲を事前に理解しておくことは、保護者様の不安を解消するために不可欠です。孤独を感じやすい通信制高校の学習も、サポート校の手厚い個別指導や、コミュニティの形成などを利用することで解消されることもあります。
本記事で解説した各進路の仕組みや適性、そして具体的なサポート体制を参考に、お子様にとって最も安心できる再スタートの環境を見つけてください。



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