会場は、誰もが「ただいま」と言いたくなる場所
今回の会場としてご協力いただいたのは、鳥取市用瀬町にあるフリースクール「ほとり」さんです。
「ほとり」という名前の通り、千代川のほとりに佇むこの場所は、大きな一軒家の古民家を改修して作られました。一歩足を踏み入れると、木のぬくもりと、どこか懐かしい畳の匂いが私たちを迎えてくれます。

写真からも伝わるように、縁側から差し込む柔らかな光が、訪れる人の緊張を優しく解きほぐしてくれるような、そんな不思議な魅力に満ちた空間です。
「ほとり」さんは、フリースクールとしての活動だけでなく、地域の子どもたちが集う「地域食堂」や、親子で参加できる様々な教室なども開催されています。そこは、不登校の子どもたちだけではなく、様々な背景を持つ人々が自然と集い、交流できる地域の「居場所」のような存在。私たちが目指す「つながり」をまさに体現されている場所です。
膝を突き合わせ、心を通わせた時間
当日は、お子さん連れの方も含め、4名の方が参加してくださいました。
「4人」と聞くと、少なく感じられるかもしれません。しかし、この少人数だったからこそ、参加者お一人おひとりと深く、そして丁寧にお話することができたと感じています。
私たちは、大きなテーブルではなく、あえて畳の部屋に円座を広げ、皆で車座になる形をとりました。まさしく「膝を突き合わせる」ような距離感で、お互いの顔を見ながら、ゆっくりとお話が始まりました。
最初は少し緊張した面持ちだった参加者の皆さんも、お茶を飲み、お菓子を囲みながら話すうちに、少しずつ表情が和らいでいくのが分かりました。
「うちの子も、朝になると『お腹が痛い』って言うんです」
「学校の先生との連携、どうされていますか?」
「子どもの将来を考えると、どうしても不安になってしまって…」
誰かが勇気を出して話し始めると、「うちも同じです」「その気持ち、すごく分かります」と、共感の輪が広がっていきます。ここでは、誰も他の人を評価したり、アドバイスを押し付けたりしません。ただ、お互いの話に静かに耳を傾け、うなずき、時に一緒に涙ぐみ、そして時に笑い合う。そんな優しい時間が流れていました。
お子さんは、すぐそばのスペースで思い思いに遊びながら、お母さんが安心してお話できるのを見守ってくれているようでした。子どものことを気にせず、自分の気持ちを話せる時間を持つことが、どれほど大切か。参加されたお母さんの少し晴れやかな表情が、それを物語っていました。
「一人じゃない」と感じられることの温かさ
不登校や行き渋りの悩みは、非常にデリケートで、プライベートな問題です。だからこそ、家族や親しい友人にも打ち明けられず、一人で抱え込んでしまう保護者の方が後を絶ちません。インターネットで情報を探せば探すほど、無数の選択肢や意見に混乱し、かえって不安が増してしまうこともあるでしょう。
そんな時、本当に必要とされているのは、専門家による一方的なアドバイスだけではないのかもしれません。
同じような痛みや不安を経験したことのある「誰か」と出会い、「あなたは一人じゃないですよ」と感じられること。自分の気持ちを安心して言葉にできる場があること。それだけで、心が少し軽くなったり、明日へ向かう小さな希望が生まれたりするのではないかと、私たちは考えています。
今回の相談会は、まさに「つながり、かんじる」という「つなかん」の名前に込めた思いを、参加者の皆さんと一緒に形にできたような、そんな温かい時間でした。この小さな輪が、これから少しずつ、鳥取県全体に広がっていくことを願ってやみません。
おわりに
今後もつなかんでは、不登校や行き渋りに悩む保護者の方がだれでも参加できるような相談会を、東部・中部・西部それぞれの地域で実施してまいります。
「誰かと話したいな」
「他のうちはどうしているんだろう?」
「ちょっと疲れたから、ほっと一息つきたいな」
どんな理由でも構いません。どうぞ、お気軽な気持ちでいらしてください。私たちスタッフも、皆さんと同じように悩み、迷いながら子どもと向き合っている、一人の親です。皆さんとお会いできるのを、心から楽しみにしています。
最新の募集状況や活動の様子は、つなかんの公式Instagram等で発信していますので、ぜひそちらもご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。